捕えにくい種を非破壊的に安価に発見できることから、動物(なかでも鳥類やカエル類)の音声による特定は、特に視覚的観察が困難あるいは不可能な生息地においてその普及が拡大しています。2018年12月にXeno-canto(鳥の鳴き声に関する長期共同プロジェクト)が加わって、GBIF上の音声が使えるレコードの件数は2倍に増えました。
新しい論文でドイツの研究者が音を出す別の分類、すなわち、翅や脚をこすり合わせて音を出すことで知られる直翅目について、音響プロファイリングの現状をレビューしています。このバッタ、イナゴ、コオロギの昆虫の目には、特徴的な音声で確実に分類できる多数の種がありますが、一般的に直翅目の音声の記録の利用や入手のしやすさは極めて限られています。
GBIF上では、対応する音声が添付されている直翅目のオカレンスレコードは主にアレクサンダー・ケーニッヒ動物学研究博物館(特にDORSA (Digitized Orthoptera Specimens Access))と、オハイオ州立大学のBorror Lab of Bioacoustics (BLB) から提供されています。音声付きの直翅目レコードは脊椎動物に比べて少ないですが、この論文の出版時に比べると利用可能なレコード件数は50%以上も増えています。
著者らは、受動的な音響モニタリングが利用可能な音声データを増やす潜在的手段であると指摘していますが、これには生物音響学的データのデータ・ウェアハウスが必要です。レコードの自動分類と同定には、いままでにない音響プロファイリングのアルゴリズムが必要と思われますが、もしかすると人間の音声認識で採用されている既存の方法が前進する方法となるかもしれません。